介護施設のSNS投稿、ネタが尽きたときに|AIに任せる文章と、人が決める写真
スマホのカメラロールに、投稿できていない写真が溜まっていませんか。
夏祭りの一枚。誕生日会でいい表情が撮れた一枚。行事のたびに撮ってはいるのに、どれも出せないまま残っている。
そして今月も、投稿するものがない。
この記事では、介護施設のSNS投稿を2つに分けて考える方法をお伝えします。文章だけで成立する投稿と、写真が主役の投稿。分け方が決まると、AIに任せられる部分がはっきりします。
先にお伝えしておきます。フォロワーを増やす方法の記事ではありません。
お渡しするのは、毎回ゼロから考えなくて済む形です。
専任の担当者を置いている施設は多くありません。現場と兼務したまま、隙間時間で回せる範囲に絞ってお伝えします。
カメラロールに、投稿できない写真が溜まっている
「投稿するネタがない」の正体は、多くの場合「ネタはあるのに出せない」です。
まず、そこから確認させてください。
撮ってはいるのに、出せない
SNS担当を任されている方から、こんなお話を伺うことがあります。
去年の夏祭りの写真を投稿した数日後、ご家族から電話があった。「母が写っていましたよね。聞いていないのですが」。
強い口調ではなかったそうです。むしろ、困ったような声だった。すぐに削除して謝罪し、上長にも報告した。それで話は終わりました。
終わったのに、終わっていません。
それ以来、シャッターを切る前にためらうようになった。撮っても投稿できず、カメラロールに溜まっていく。
顔が写らないように後ろ姿ばかり撮るようになり、誰の写真か分からない、当たり障りのない投稿になった。
「この方は同意をいただいていたか」を思い出せない。確認する台帳もない。
職員の写真も撮りにくくなりました。同僚に「載せていい?」と聞くのが気まずい。断りにくい立場だと分かっているからです。
「ネタがない」の正体は、たぶん「出せない」
ネタが尽きたと感じるとき、本当に材料がないことは少ないと思います。
行事はあった。いい表情も撮れた。話せることもある。それでも投稿できないのは、載せていいかどうかの判断が、毎回ひとりに乗っているからです。
1枚ごとに考える。誰が写っているか、同意はもらっていたか、これは大丈夫か。
考えるたびに疲れて、最後は「やめておこう」になる。それが続くと、材料はあるのにネタ切れの状態になります。
だとすれば、増やすべきなのはネタではありません。毎回考えなくて済む決め方のほうです。
この記事でやるのは、投稿を2つに分けることです
やることは単純です。投稿を、次の2つに分けます。
・文章だけで成立する投稿──AIに下書きを任せられます
・写真が主役の投稿──公開前の確認が先。AIの出番はありません
この線が引けると、「今月は写真が出せないから投稿できない」という状態から抜けられます。文章だけの投稿という選択肢が残るからです。
あわせて、写真を出すときの確認の手順もお渡しします。手順があれば、撮ることをためらわなくて済みます。
誰も見ていない気がする
ネタが尽きるもうひとつの理由は、何のためにやっているのかが見えないことです。
写真の話に入る前に、こちらにも触れておきます。
リーチ48、いいね6。そのうち3つは職員
投稿して30分後、インサイトを開く。数字を見る。そっと閉じる。
「いいね」を押してくれる同僚に、申し訳なさすら感じることがあります。義理で押させている気がするからです。
面接で「SNSを見ました」と言われたことは、まだ一度もない。
それでも週に2回、3回と投稿は続いています。
何のためにやっているのか、誰も教えてくれない
上長からは「続けて」とだけ言われている。目標もなければ、評価もされない。
これは担当者の努力の問題ではありません。目的が決まっていないまま、量だけが求められている状態です。
目的がないと、投稿の良し悪しを自分で判断できません。判断できないから、毎回不安なまま出す。不安なまま出すのは、思っているより消耗します。
そして、やめる決断も担当者にはできません。始めたのは自分ではないからです。
続けるとも、やめるとも言えないまま抱えている。この状態がいちばん重いのだと思います。
この記事では、目的を決める話まではしません。ただ、今の形のまま続けなくてよいことは、後半でお伝えします。
投稿を2つに分けて考える
分ける基準は、写真が入るかどうかではありません。その人が誰か分かってしまうかどうかです。
ここが記事のいちばん大事な部分です。
文章だけで成立する投稿と、写真が主役の投稿
投稿を2つに分けます。
・文章だけで成立する投稿:行事のお知らせ、季節の話題、施設の取り組みの紹介、採用の告知。写真がなくても伝わる、あるいは花や外観など人が写らない写真を添えれば足りるもの
・写真が主役の投稿:利用者さんや職員が写っていて、その写真こそが伝えたい内容になっているもの
前者は、材料さえ用意すればAIに下書きを任せられます。後者は、公開してよいかを人が確認するところから始まります。
ここで、基準そのものも書いておきます。分かれ目は「人が写っているか」だけではありません。
その写真だけで誰か分かる場合は、個人情報です。それに加えて、事業所が持っている他の情報と容易に照らし合わせて分かる場合も、個人情報として扱います。個人情報保護法が、そう定めているためです。
顔、氏名、居室の表示、日時や行事の情報。これらが組み合わさって容易に特定できるなら、個人情報です。逆に、人が写っていても、写真だけでも他の情報と照らし合わせても特定できないのであれば、個人情報にはあたりません。
とはいえ、この基準で分けていくと、実際にはほぼ「文章はAI、写真は人」に落ち着きます。文章は個人が分かる部分を外して書けますが、写真は写っている方をあとから外せないからです。
基準は上のとおりですが、実践の型は2つで構いません。
3つの段階と、写真の位置
このシリーズの第1回では、AIに入力してよい情報を3つの段階に分けて整理しました。
・段階1:個人情報を含まない文書。今日から始められます
・段階2:条件を整えれば広げられる領域
・段階3:条件を整えても慎重にすべきもの
SNSの投稿文は、段階1にあたります。行事のお知らせも、季節の話題も、採用の告知も、個人情報を含めずに書けるからです。
ここで、写真の位置を確かめておきます。
3つの段階は、文章をAIに入れるかどうかの話です。この記事では写真をAIに渡さないので、別の話になります。
段階から外れた例外という意味ではありません。判断の対象が違うだけです。文章については「どこまで入れてよいか」を考えますが、写真については「公開してよいか」を考えます。問いが別なので、同じ物差しは使いません。
入力してよい情報の線引きそのものは、介護事業所のAI活用、始める前に決める3つのことで解説しています。事業所としてのルールをまだ決めていない場合は、先にそちらをご覧ください。
分けると、迷う時間が減る
この分け方の効き目は、投稿の質が上がることではありません。迷う回数が減ることです。
これまでは1枚ごと、1本ごとに考えていました。分けたあとは、投稿の種類を決めた時点で判断の道筋が決まります。
文章だけの投稿なら、材料を用意してAIに渡す。写真の投稿なら、確認の手順を通す。
「これは大丈夫だろうか」と毎回ゼロから考える場面が、ここで減ります。
文章だけの投稿は、AIに任せられる
白紙から書き始める負担を減らす。AIに任せやすいのは、この部分です。
具体的に何をどう頼めるかを見ていきます。
最初に試すなら、この4つ
個人情報を含めずに書けて、失敗しても実害が小さいものから始めます。
・行事のお知らせ:夏祭り、敬老会、家族会。日時と場所と持ち物を渡し、案内文の形に整えてもらう
・季節の話題:花壇の花、玄関の飾り、旬の献立。写真は人が写らないものを使う
・施設の取り組みの紹介:感染対策、リハビリの設備、送迎の範囲。事実を箇条書きで渡す
・採用の告知:募集職種と勤務条件。公開時点で有効な求人票・募集要項を材料にする
採用の告知には、ひとつ気をつけることがあります。勤務条件を載せる場合は、AIの下書きを正式な求人票と突き合わせてから投稿してください。
労働者の募集を行う者には、業務の内容や賃金、労働時間その他の労働条件を明示することが職業安定法で求められています。古い条件が残った投稿は、応募される方の判断を誤らせます。
条件を変更したときは、SNSの投稿も更新するか削除してください。投稿は流れていきますが、検索やプロフィール欄から後日読まれることがあります。
採用の告知については、求人票そのものの下書きを扱った介護の求人票、AIに下書きしてもらう手順もあわせてご覧ください。渡してよい材料の考え方は共通です。
同じ内容を、媒体ごとに書き分ける
ひとつの行事を、Instagram、Facebook、自社サイトのお知らせに載せる。内容は同じでも、読まれ方は媒体ごとに違います。
この書き分けは、手作業だと面倒です。同じことを3回書く作業だからです。AIがいちばん役に立つのは、この場面かもしれません。
1つの材料から3つの原稿を出してもらい、人が整える。この順番にすると、白紙から書き始める時間を短くできる場合があります。
なお、SNSは流れて消えていく媒体です。行事のお知らせや募集の情報は、自社サイトにも残しておくことをお勧めします。
SNSと自社サイトの役割の違いについては、介護・医療施設のホームページの重要性で解説しています。
コピーして使えるプロンプト例
そのままコピーして、◯の部分を自事業所の内容に置き換えてお使いください。
例1:行事のお知らせ
介護施設のSNS用に、行事のお知らせ文を作ってください。
【行事】◯◯(例:夏祭り)
【日時】◯月◯日(◯)◯時〜◯時
【場所】◯◯
【対象】ご家族の方も参加できます/ご利用者のみ など
【持ち物・注意】◯◯
条件:
・150字程度、です・ます調
・写真がなくても内容が伝わる文章にする
・参加を強く促す表現や、効果を約束する表現は使わない
・個人名は入れない
例2:季節の話題
介護施設のSNS用に、季節の話題の投稿文を作ってください。
【題材】◯◯(例:玄関前の花壇のコスモスが咲きました)
【添える写真】人が写っていない花壇の写真
【伝えたいこと】◯◯(例:季節を感じられる場所があること)
条件:
・120字程度、です・ます調
・利用者や職員の様子には触れない
・大げさな形容や、感動を押しつける表現は使わない
例3:同じ内容の媒体別の書き分け
次の内容を、3つの媒体それぞれに合う形で書き分けてください。
【内容】◯◯(例:敬老会を開催しました。ご家族◯名にご参加いただきました)
【媒体と条件】
1. Instagram:120字程度。写真の説明を兼ねる短い文
2. Facebook:250字程度。経緯や背景も少し添える
3. 自社サイトのお知らせ:400字程度。日付と概要を明記した記録として残る文
共通の条件:
・です・ます調
・個人名は入れない
・参加人数以外の数値は入れない
・効果や成果を約束する表現は使わない
出てきた文章は、そのまま投稿せず、自分で読み直してください。事実の誤り、施設の言い回しと違うところ、季節や天候と合わない表現が残っていることがあります。
利用者さんの様子に触れるときは、特定できない形にする
「行事に参加された方が笑顔だった」のように、利用者さんの様子を書きたい場面があります。
その場合は、人が特定できない形に直してからAIに渡してください。順番が大事です。AIに直してもらうのではなく、人が直したものを渡します。
渡してよいものと、そうでないものの目安です。
・渡してよい:「参加された方が」「多くの方が」といった主語。行事名、日付、参加人数
・渡さない:氏名、居室番号、疾患名、その人だと分かる出来事、ご家族との個別のやりとり
「Aさんが」ではなく「参加された方が」。この置き換えを、渡す前に済ませておきます。
ただし、置き換えれば済むとは限りません。行事名、日付、参加人数、出来事の細かさが重なると、地域や事業所の事情を知っている人には誰のことか分かってしまいます。
小さな地域ではとくにそうです。渡す前にもう一度読み返し、思い当たる方が浮かばないかを確かめてください。
「気持ちがこもっていない」と思われないか
介護のSNSは、心のこもった投稿に価値があるとされる領域です。だからこそ、AIを使うことへの抵抗が強く出ます。
ここは避けて通れないので、正面から書きます。
AIに書かせるのは、手を抜くことになるのか
SNS担当の方から、この話をよく伺います。
介護は手間をかける仕事だと思ってやってきた。日々の関わりを丁寧に見てきたから書ける文章がある。
それを機械に任せるのは、いちばん大事なところを手放すことにならないか。
ご家族が読む投稿です。職員も見ています。「これ、AIが書いたんでしょう」と言われる場面を想像すると、気が重くなります。
この引っかかりは、精神論では解けません。工程で見てください。
写真を選ぶ工程は、全部人がやっている
写真が主役の投稿を1本作るとき、実際にやっていることを並べてみます。
カメラロールから1枚を選ぶ。誰が写っているかを確認する。その方の表情を思い出す。この写真を出して、ご本人はどう思うだろうかと考える。ご家族の顔も浮かぶ。
そのうえで、出すか出さないかを決める。
この工程は、AIに渡すものではありません。渡せないのではなく、そもそも渡す対象になりません。
写っている方をどれだけ知っているか。その方が何を大事にしているか。ここは、日々関わっている人にしか分からない部分です。SNSの投稿でいちばん価値があるのは、たぶんこの判断のほうです。
文章をAIに任せて、迷う時間にあてる
お知らせ文を書く時間は、1本30分かかることもあります。この30分を減らせたとして、何に使えるでしょうか。
使えるのは、「これを載せていいか」を考える時間です。
これまでは、文章を考える時間と、載せてよいか迷う時間の両方を抱えていました。どちらも同じ人がやるので、片方に時間をかけると、もう片方が雑になります。
文章をAIに渡すと、判断のほうに時間を回せます。手を抜いたのではなく、手をかける場所を移した。そう説明できる形になっていれば十分です。
写真を出す前に、誰に確認するか
写真は、誰が写っているか分かってしまう情報です。だから、公開の前に確認が要ります。
ここからは、AIの出番がない領域の話です。
写真が個人情報にあたるとき
個人情報保護法は、個人情報を「文書、図画」などにより特定の個人を識別することができるもの、と定めています。他の情報と容易に照らし合わせて特定できるものも含みます。
写真も、そこに写っている方が誰か分かるのであれば個人情報にあたります。写真だけで分かる場合も、事業所の記録や地域の事情と容易に照らし合わせて分かる場合も同じです。
ここで、よくある誤解をひとつ解いておきます。
介護施設が公開する写真は、その方が施設を利用していることを示すものでもあります。ただし、それだけで要配慮個人情報になるわけではありません。
個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)に、次の考え方が示されています。人種や病歴などを推知させる情報にすぎないものは、要配慮個人情報には含まない。
写真は、障害や病歴そのものを記載した情報ではないからです。
とはいえ、慎重に扱うべき情報であることは変わりません。
事業所が持っている記録と結びつけば、そこには病歴や心身の機能の障害といった要配慮個人情報が含まれます。
ひとつ、正確に書いておきます。法律が、写真をAIに入れることを一律に禁じているわけではありません。
ただ、利用規約や設定を毎回確認できる体制がないなら、写さない・渡さないと先に決めておくほうが、迷わずに済みます。この記事では、渡さないことを前提にします。
また、利用者さんを特定できる写真が、個人データにあたる場合があります。その写真を不特定多数が見られるSNSに載せることは、第三者提供にあたり得ます。
第三者提供には、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です。
ご利用の開始時に同意をいただいている場合も、その中身を確かめてください。SNSへの掲載、写真、公開する目的と範囲まで含まれているかです。「写真の利用に同意」とだけ書かれていることは少なくありません。
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」をご確認ください。判断に迷う場合は、専門家にご相談ください。
利用者さん本人・ご家族・職員、それぞれに
確認が必要な相手は、ひとりではありません。
・利用者さんご本人:写っているのはご本人です。ご家族の同意があれば足りる、とは考えないでください
・ご家族:ご本人の意思確認が難しいときに、説明と相談をする相手です。ただし、ご家族への確認だけで掲載の可否を決めないでください
・職員:職員も個人情報の本人であることに変わりはありません
掲載の前には、原則としてご本人の意思を確認します。
ご本人による確認が難しい場合もあります。そのときに、ご家族へ説明して相談することは考えられます。ただ、ご家族に聞いたから済んだ、とはしないでください。
確認するのは3つです。ご本人の意思や判断の状況。ご家族がご本人の意思をどこまで汲める立場にあるか。そして事業所の個人情報取扱規程です。
そのうえで、ご家族への説明と相談を含めて個別に判断します。
どの場合でも、SNSに載せる写真、載せる目的、公開される範囲まで説明したうえで、確認した内容を記録に残してください。判断に迷う場合は、専門家にご相談ください。
職員の写真は、抜けやすい部分です。同じ職場にいる相手だと、つい「言わなくても分かるだろう」になります。
ただ、職員の側は断りにくい立場にあります。聞かれれば「いいですよ」と答えるしかない場面もあります。
だからこそ、その場で口頭で聞くのではなく、撮影と掲載の方針を先に全体へ伝えておくほうが、双方にとって楽です。「顔が写る写真を使うときは事前に声をかけます」「断っても不利益はありません」と伝えておく。ここまでを含めて確認の手順です。
顔が写っていなくても、特定されることがある
「顔を隠せば大丈夫」と考えたくなりますが、それだけでは足りない場面があります。
・居室:ドアの表札、ベッド周りの配置、壁の掲示物
・持ち物:見慣れた膝掛け、愛用の湯呑み、車椅子のクッション
・背景:行事の看板に書かれた日付、参加者名簿、座席表
・会話の内容:投稿文に添えたエピソードから、誰のことか分かってしまう
とくに小規模な地域では、後ろ姿や手元だけでも「あの方だ」と分かることがあります。
ご家族や近隣の方は、その人の持ち物や癖をよく知っているからです。
公開前のチェックリスト
投稿ボタンを押す前に、次を確認してください。
・写っている方全員について、掲載の確認が取れているか
・顔が写っていない方についても、持ち物や背景から特定されないか
・背景に、名簿・座席表・掲示物・表札が写り込んでいないか
・投稿文のエピソードから、誰のことか分かってしまわないか
・職員についても、本人に確認が取れているか
・削除を求められたときに、誰がどう対応するかが決まっているか
最後の項目は見落としがちです。出したあとに「やっぱり消してほしい」と言われる場面を、先に想定しておいてください。連絡先と対応の担当を決めておけば、そのとき慌てずに済みます。
迷ったら出さない
確認しても判断がつかない写真は、出さないでください。
この判断は、担当者ひとりで背負うものではありません。迷った時点で上長に相談し、判断を分けてください。
「自分が決めなければ」と思っているうちは、迷うたびに消耗します。
迷わなくて済む写真を、先に増やす
ただし、「出さない」だけで終わらせると、そのうち撮ることもやめてしまいます。
そこで、何を見ればいいかが決まっている写真の引き出しを先に増やしておきます。
・手元・道具:折り紙、湯呑み、書道の筆先。人が写らない構図にしたうえで、名前や特徴的な持ち物から特定されないかを見ます
・準備の風景:飾り付け中の壁、並べた椅子、調理の下ごしらえ。構図で人を外し、掲示物の写り込みを見ます
・行事の全体像:個人が判別できない距離と角度から。特定できない形になっているかを確認します
・職員の後ろ姿・手元:顔を入れない撮り方。後ろ姿でも本人には分かるので、本人への確認をします
・施設の外観・季節のもの:花壇、桜、玄関の飾り。表札や掲示物、送迎車の記載が写り込んでいないかを見ます
顔が写る写真を撮らない、という話ではありません。顔が写る写真は確認の手順を通す。それとは別に、見るポイントが決まっている写真の引き出しを持っておくということです。どの型でも、写り込みを見る手間はかかります。ただ、毎回ゼロから考えずに済みます。
この引き出しを用意しておくと、公開前に確認するポイントを整理しやすくなります。
人が写らない写真を使う場合も、背景や持ち物、投稿文から個人を特定できないかは確認してください。判断がつかないときは、文章だけの投稿を選びます。
毎回ゼロから考えるのをやめる
ネタが尽きるのは、毎回その場で考えているからです。年間の型があれば、考える回数そのものが減ります。
最後に、続けられる形をつくります。
行事カレンダーから逆算して、年間の型をつくる
介護施設には、毎年決まった行事があります。年度末の準備、桜、家族会、夏祭り、敬老会、避難訓練、年末の飾りつけ。
この年間の行事に、季節の話題と採用の告知を重ねると、投稿の骨組みができます。この骨組みづくりも、AIに任せられます。
行事の一覧と、月あたりの投稿本数を渡して、年間の投稿計画の案を出してもらう。出てきた案を見ながら、自施設の実情に合わせて削る。
ゼロから考えるより、削るほうがずっと楽です。
今の形をやめる
ここで、ひとつ提案があります。
SNSをやめる話ではありません。「毎日投稿する」「写真を入れないと投稿にならない」という今のやり方を、組み替える話です。
毎日投稿しなければならない決まりはありません。写真がない投稿に価値がないわけでもありません。この2つは、いつの間にか自分に課した条件であることが多いのです。
週2〜3回を、文章2本と写真1本に分ける
具体的な配分の例です。週に3回投稿しているなら、こう分けます。
・2本:文章だけで成立する投稿。行事のお知らせ、季節の話題、施設の取り組み。AIに下書きを頼める
・1本:写真が主役の投稿。確認の手順を通す
週2回なら、文章1本と写真1本。写真の確認が間に合わない週は、文章2本にします。
この配分にすると、確認が必要な投稿は週1本になります。週に1回なら、上長に相談する時間も取れます。毎回ひとりで判断しなくてよくなります。
本数を減らすことに抵抗があるかもしれません。ただ、確認しきれないまま出す投稿を増やすより、確認できる本数に合わせるほうが、結果として続きます。
渡せたのは、続けられる形です
最後に、正直に書いておきます。
この記事を読んでも、フォロワーの数は変わらないかもしれません。面接で「SNSを見ました」と言われる日が来るかどうかも分かりません。数字については、何もお約束できないというのが正直なところです。
お渡しできたのは、毎回ゼロから考える状態から出るための形だけです。
それでも、投稿を2つに分けて、確認の手順を持って、年間の型をつくる。ここまで整えば、いまの続け方を見直すきっかけにはなります。まずはそこまでで十分だと思います。
今日からできること
準備を整えるより、1本試すほうが早く分かります。
・1日目:カメラロールを開き、人が写っていない写真を10枚選んで別のフォルダに分ける
・2日目:今月の行事のお知らせを1本、AIに下書きしてもらう。出てきた文章を自分で直す
・3日目:公開前のチェックリストを1枚にまとめ、上長に見てもらう
3日目が、いちばん効きます。チェックリストを共有した時点で、判断はひとりのものではなくなるからです。
よくある質問(FAQ)
Q. 介護施設のSNS投稿にAIを使っても問題ないでしょうか?
Q. 利用者さんの写真は、ご家族の同意があれば載せてよいですか?
Q. 職員の写真も本人の確認が必要ですか?
Q. 他の施設のアカウントと比べて落ち込んでしまいます。
まとめ──分ければ、また撮れるようになる
介護施設のSNSは、投稿を2つに分けるところから整理できます。文章だけで成立する投稿はAIに任せ、写真が主役の投稿は人が確認する。
この線が引けると、「今月は写真が出せないから投稿できない」という行き止まりがなくなります。
写真については、確認の手順とチェックリストを持ってください。手順があれば、判断をひとりで背負わずに済みます。
あわせて、確認が軽い写真の引き出しを増やしておく。手元、準備の風景、施設の外観。撮ることをやめないための備えです。
そして、今の形のまま続けなくて構いません。週3回なら文章2本と写真1本。確認できる本数に合わせるほうが、結果として長く続きます。
最初にお話しした、カメラロールに溜まった写真。
あれは、出せなかった写真です。手順があれば、出せるかどうかを判断するところまでは進めます。判断した結果として出せない写真もあります。それでも、判断できずに止まったままにはなりません。
RadiantCoCoでは、介護・医療事業所のWeb運用と採用ブランディングをご支援しています。投稿の型づくりや、発信の目的を整理する段階からのご相談も承っています。進め方に迷われている場合は、お気軽にお声がけください。
【参考資料】
・個人情報保護法(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)
・個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/)
・個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/iryoukaigo_guidance/)
・個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/)
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