介護の採用がうまくいかない理由と対策|小規模事業所が「条件」以外で勝つ方法

介護の採用がうまくいかない理由と対策|小規模事業所が「条件」以外で勝つ方法

介護の求人に応募が来ないとき、多くの事業所が「条件を上げる」「掲載費を増やす」に進みがちです。でも、小さな事業所ほどその戦いは消耗します。まず整えるべきは給与や広告ではなく、「この職場で働く意味」が伝わる「採用の軸」です。


「面接の約束をしたのに、当日誰も来なかった」
「やっと採用できた経験者、期待していたのに3日で辞めてしまった」

この画面を見ている社長さんは、夜勤明けの事務所で、あるいは送迎の合間の車内で、ため息をつきながらスマホを握りしめているかもしれません。

ハローワークに求人を出しても電話が鳴らない。
高い掲載費を払って求人媒体にお願いしたのに、応募はゼロ。
「時給をあと50円上げないとダメなのか……?」と、通帳とにらめっこする日々。


開設したての介護事業所にとって、採用の壁は本当に高く、そして孤独な戦いですよね。

実は、多くの社長さんが
「条件を良くしないと人は来ない」「とにかく露出を増やさないと」
と考えて、疲弊してしまっています。

でも、少しだけ立ち止まって聞いてください。
採用がうまくいかないのは、社長の努力不足でもなければ、給与が低いからでもありません。

本当の原因は、条件以外の「この職場で働く意味」が、求職者にまったく伝わっていないことにあります。

この記事では、忙しい社長さんが明日からできる、お金をかけない採用戦略「採用ブランディング」について、現場のリアルな痛みを踏まえながらお話しします。

売り込みは一切ありません。
まずは「採用の悩み」という重荷を、少しだけ下ろすための時間だと思って読んでみてください。

介護の採用がうまくいかないのは「努力不足」ではありません

先にお伝えしたいのは、採用がうまくいかないのは社長さんの努力不足ではない、ということです。
介護業界は全体として人材不足が続いており、小さな事業所ほど不利になりやすい構造があります。

だからこそ、同じような条件で募集しても、応募が集まる事業所と、集まりにくい事業所が出てしまう。
そしてその差は、意外と「給与」や「勤務時間」だけでは説明できません。

なぜ介護の求人に応募が来ないのか?(採用がうまくいかない3つの理由)

まずは、私たちが戦っている「介護採用のリアル」を整理しましょう。
一般論ではなく、現場で起きている「あるある」です。

1「条件」の土俵に上がると、大手には絶対勝てない

求職者が仕事を探すとき、真っ先に見るのは「給与」「休日」「場所」です。
しかし、開設したばかりの小規模事業所が、近隣の大手法人より高い給与を出すのは、経営的にほぼ不可能です。

無理をして時給を100円上げたとします。
すると何が起きるかというと、「条件だけで選ぶ人」が集まります。
そして、隣の事業所がさらに時給を50円上げれば、あっさりそちらへ移っていきます。

条件で勝負をするということは、「終わりのない消耗戦」に参加するのと同じなのです。

2「どんな介護をしているか」が、驚くほど伝わっていない

現場では素晴らしいケアをされているはずです。

認知症の利用者様が穏やかな表情で過ごせるように声をかけている。
効率よりも「自分でやりたい」気持ちを待つ時間を大切にしている。
個浴でリラックスしてもらえるように工夫している。

こうした現場のこだわりや温度感は、求人票の備考欄には書かれません。
求職者から見れば、
「AデイサービスもBデイサービスも、やることは一緒」
に見えてしまっているのです。

違いが見えなければ、人は条件の良い方を選びます。
これが、応募が来ない最大の理由です。

3「ミスマッチ」による早期離職の罠

やっと応募が来て採用したのに、「思っていたのと違う」「忙しすぎる」と言って辞めてしまう。

これは、面接の時点でお互いに「良いこと」しか言っていないために起こりがちです。

「うちはアットホームですよ」
「残業は少ないですよ」

この言葉を信じて入社した職員が、現場のバタバタや、社長が求めるケアの質の高さ(厳しさ)に直面し、ギャップを感じてしまう。

「どんな人に来てほしいか」だけでなく、
「どんな人は合わないか」まで伝えていないことが、早期離職=採用コストの無駄遣いを招いています。

求人票の前に整える「採用ブランディング」とは?

ここで提案したいのが、「採用ブランディング」という考え方です。

「ブランディング? 開設したてのウチにはまだ早いよ。ロゴを作る金もないし」
そう思われるかもしれません。

でも、安心してください。
ここで言うブランディングとは、ただおしゃれなロゴを作ることでも、きれいなホームページを作ることでもありません。

採用ブランディングとは、「私たちは、何を大切にしている事業所なのか」を、誰にでも分かる言葉にすることです。

そして、その言葉をベースにロゴやホームページを作ることで、初めて本物のブランドになります。

ロゴとホームページは、理念の象徴としてとても大事です

ロゴは、理念の象徴になります。
ホームページは、事業所の想いを詰め込む場所になります。

ただし、順番があるんですね。

先に「何を大切にしている会社か」が言語化されていないと、ロゴもホームページも形だけになってしまいます。
逆に言えば、先に言葉が整っていると、ロゴやホームページは強くなります。
採用にも、定着にも効く伝わるデザインになるんです。

泥臭い「想い」こそが、最強の武器になる

大手には、きれいなパンフレットや充実した福利厚生があります。
でも、小さな事業所には、社長(あなた)の人柄と熱い想いがあります。

介護職の方の中には、こんな悩みを持っている人がたくさんいます。

「前の職場は効率重視で、利用者さんを流れ作業のように扱うのが辛かった」
「もっと寄り添うケアがしたいのに、組織が大きすぎて意見が通らなかった」

こうした層にとって、あなたの事業所の「こだわり」や「理念」は、給与以上の魅力(働く意味)になり得ます。

「給料は相場くらいだけど、ここでは本当の介護ができる」
そう思ってもらえた瞬間、条件の競争から抜け出すことができるのです。

小さな介護事業所こそ「言葉」が武器になる

開設したてだと、社長自身が現場に入っていることも多いです。
ホームページを作る余裕もない。
採用に時間を割くのも難しい。

だからこそ、「言葉」が武器になります。

大きな法人のように、条件や知名度で勝負するのは難しい。
でも、小さな事業所には人柄があります。
想いがあります。
それを言葉にできたとき、ちゃんと届く人に届くようになります。

今日からできる「採用ブランディング」最初の3ステップ
(チェックリスト)

ここからは、忙しい社長さん(施設長さん・事業所経営者)が今日から始められるように、最初の3ステップとチェックリストをつくりました。
難しいことはしません。「言葉を整える」ことから始めます。

ステップ1:事業所の「譲れないこだわり」を言葉にする

きれいな理念(例:「地域貢献」「安心安全」)は、一旦忘れてください。
もっと現場レベルの、具体的なこだわりです。

例えば…

利用者様を急かさない
「帰りたい」を否定しない
職員が忙しくても、挨拶と声かけを大切にする

こうした具体的な行動が、あなたの事業所の「カラー」になります。

ステップ2:さらけ出す(良いことも、大変なことも)

求職者は、失敗したくありません。
だからこそ「リアル」を知りたがっています。

良いことばかり書かず、「うちはここが大変です」と正直に伝えることも立派なブランディングです。

例えば…

「立ち上げたばかりで仕組みが整っていません。一緒に作り上げてくれる人でないと辛いと思います」
「利用者様の「やりたい」を叶えるため、大変な仕事もあります」

これを先に伝えておくと、
「マニュアルがないと無理」という人は応募してきません。
逆に、「自分で考えて動きたい」という意欲的な人が反応してくれます。

ステップ3:「誰と一緒に働きたいか」をラブレターのように書く

「介護職員初任者研修・経験3年以上」といったスペックの話ではありません。
「価値観」の話です。

「技術よりも、利用者さんの目を見て挨拶できる人と働きたい」
「利用者さんの自立を考える事ができる人が欲しい」

社長がどんな人間を愛し、どんな人間を評価するのか。
それを言葉にすることで、それに共感する人が引き寄せられます。

採用ブランディング・チェックリスト

① 事業所の「判断基準」をひと言で言えるか?
(例:私たちは「安心と尊厳」を大切にする/その人らしさを守る etc.)

② 「どんな職場か」を具体的に説明できるか?
(誰がいる?どんな雰囲気?どんな関わり方?)

③ 「どんな人と働きたいか」が言えるか?
(人柄・姿勢・価値観。スキルよりも合う人の条件)

この3つが言葉になったら、次のステップとして
ロゴやホームページ、SNSの発信に落とし込むと「採用に効く形」になります。

「共感採用」は、定着率(離職防止)にも効く

こうして「言葉(想い)」を軸にして採用することを、共感採用と呼びます。

条件ではなく「共感」で集まったスタッフは強いです。
少しくらい忙しくても、設備が古くても、

「社長のやりたい介護が好きだから」
「ここの仲間となら頑張れるから」

という理由で、踏ん張ってくれます。

ロゴやホームページは「言葉」の後でいい(でも重要です)

もちろん、ロゴやホームページはあった方が信頼度は上がります。
しかし、順番を間違えてはいけません。

× 形(デザイン)から入る
〇 想い(言葉)を固めてから、形にする

先に「何を大切にするか」という言葉がないまま、おしゃれなホームページを作っても、中身のない箱と同じです。

逆に、言葉がしっかりしていれば、無料のホームページ作成ツールやSNSの発信だけでも、熱量は十分伝わります。

まずは、社長の頭の中にある「理想の介護」を、文字に起こすところから始めてみてください。

あなたの想いを待っている人が、必ずいます

介護の採用がうまくいかないとき、どうしても「自分たちには魅力がない」と思いがちです。
でも、そうではありません。

魅力が、言葉になっていないだけです。

開設したての今だからこそ語れる夢があるはずです。
小さな事業所だからこそ、実現できる温かいケアがあるはずです。

その「働く意味」を言葉にできたとき、
条件比較のサイトにはいなかった、「あなたと働きたい」という人が現れます。

諦めないでください。
あなたの事業所を必要としている利用者様のために、
そして、あなたと同じ志を持つ未来のスタッフのために。

まずは等身大の言葉を紡ぐことから、採用を変えていきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 介護の採用がうまくいかない一番の原因は?
条件ではなく、「この事業所で働く意味」が伝わっていないことです。

Q2. 採用ブランディングは何から始めればいい?
まずは「何を大切にしている会社か」を言葉にして、判断基準をつくることです。

Q3. ロゴやホームページは後回しでもいい?
重要ですが、先に言葉(理念)を整えてから形にすると採用に効きます。

Q4. 採用ブランディングとは何ですか?
採用ブランディングとは、「この事業所が何を大切にしているか」を誰にでも分かる言葉にして伝えることです。条件ではなく共感で応募が集まり、ミスマッチが減ることで定着にもつながります。

Q5. 小さな介護事業所でもブランディングは必要ですか?
むしろ必要です。条件勝負は大手に勝てないため、現場のこだわりや理念を言葉にして伝えることで「ここで働きたい」という人に選ばれやすくなります。

Q6. ホームページがなくても採用できますか?
はい。言葉が整っていれば、SNSやブログ、求人票だけでも応募が増えることがあります。ただし信頼性を高めるために、余裕が出たらホームページやロゴを整えることはおすすめです。

Q7. 応募が来ないのは給与が低いからですか?
給与も要素のひとつですが、実際は「この職場で働く意味」が伝わっていないことが原因になっているケースが多いです。言葉を整えることで反応が変わることがあります。

Q8. 何から始めればいいですか?
まずは「譲れないこだわり」を3つ書き出すことからです。難しければ、無料チェックリストを使って現状を整理してみてください。

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この記事を書いた人

岡田千秋
(株)RadiantCoCo 代表取締役/介護事業所CMO経験あり
介護福祉士・Webクリエイター エキスパート

介護現場の実務とデジタル・デザインを横断する専門家。介護業界のブランディング、Web制作、集客設計(SEO/広告/SNS)まで 現場視点×経営視点で支援します。信頼できる情報発信を重視し、「介護×デザイン×テクノロジー」をテーマに活動中。

  • 専門分野: 介護DX/採用・広報/Webマーケティング/ブランド設計
  • 提供価値: 現場に根ざした施策設計、成果につながるクリエイティブ、再現性ある運用体制づくり


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